2008年11月5日水曜日

79.タジン鍋 ロマンー12 / 強い土鍋

           上高地 梓川


 モロッコのタジン鍋は地場の粘土材料なので耐熱性が小さく「ゆっくり加熱、じっくり煮込み」が普通であり、強度も弱いので長持ちはし難い。しかし、味もさることながらスローライフとしての風情も捨てがたい良さはある。(日本でもこの種は市販されている) ところが、粘土に夢の材料・リチュウム珪酸塩(葉長石 ペタライト Li2O3・AL2O3・8SiO2)を加えると耐熱性、機械的強度が驚異的にアップする。何処で誰が発見したかは定かでないが多分、何処かの研究室で偶然発見したのであろう。従来の一般的な土鍋は粘土にシャモット、コージライト原料等を配合していたので耐熱性、強度とも弱く空焚きは不可能、しばらくするとひび割れを生じていた。最近は一般的な土鍋もペタライトを配合するようになり、性能、デザイン、使い勝手とも良くなった。
 「リチュウム Li]と言う物質は既に述べたように宇宙の歴史の中で鉄やアルミの生成と違ってごく限られた瞬間に生成し、幸運にも地球に辿り着いた稀少資源である。今では「ハイテク電池」の材料としても大量に消費されようとしている。業界はリサイクル等上手に使う工夫を最初から確立しておく必要がある。