2008年10月26日日曜日

78.タジン鍋 ロマンー11 / 月の砂漠・ロマンはつづく

 タジン鍋は「モロッコ」の砂漠地帯で生まれ、伝統料理として今に受け継がれている。しかし、どうしてモロッコなのか、他の砂漠地帯では不可能だったのか疑問である。《以下創作》 月の光が照りつける砂漠地帯、気温は10度とかなり寒く焚き火で暖をとり暖かい料理を作りたいが「野菜や肉は沢山あるが水が無い」、そこで野菜や肉の水分だけで「無水蒸し焼き調理」が出来る独特の土鍋を発明した。「野菜や肉は沢山あるが水が無い」という現象は他の砂漠地帯には無いモロッコ独特の地理と気候風土に由来していると考えられる。事実、モロッコは砂漠や草原地帯が大半を占めるが山脈や川もあり、豊かな農業国である。しかも、砂漠のすぐ近くにカサブランカなどの大都市があり野菜や肉の流通もしっかりしていると思われる。ただ、水場だけが砂漠以外に偏っていることがタジン鍋を誕生させた環境風土である。

77.タジン鍋 ロマンー10 / 陶器はいつ生まれどのように発展したか

 縄文式土器

 
  地球上において、陶器はいつ何処で生まれたか明確な根拠は無い。1万2千年以上前の日本(縄文時代初期)で焚き火の中で硬くなった土を発見、土器を発明したと言う説が有力であるが定かではない。前後して世界の彼方此方で既に作られていたかも知れない。その後、世界各地で独自に発展してゆき、中でも中国陶器は世界各地に流通した。「磁器」と言う緻密で硬く、強い「やきもの」は10世紀前後に中国・景徳鎮で発明され世界各地に広がってゆく。日本では年代順に「縄文式土器」、「弥生式土器」、「須恵器」、「土師器」、「陶器」、「磁器」と呼ばれ、特に陶器・磁器の技術は15世紀以降中国、韓国の影響を強く受けて発展してゆき、20世紀には日本の陶磁器技術は世界トップレベルに到達した。


  

2008年10月12日日曜日

76.タジン鍋 ロマン-9 / 母なる火

 薪窯の炎 豊田市にて

 50万年前、人類が最初に手にした火は、落雷や噴火による火災によってもたらされたものだと考えられている。そして、こすれあう木の枝から発火するのを見て発火の術を手に入れます。

「人類は火を制御し 火を利用する事によって文明を作り出してきた。土に火を与える事によって高温化学反応を起こさせ 再び岩石に戻してこれを《やきもの》と呼び、文明の利器とした。 火は命の母である。」(文集《どすいか》第3集より)


 薪窯の中 1200℃ 豊田市にて

 薪を焚いて50時間、漸く1,200℃に達する。この後更に50時間薪をくべ続ける。何千万年掛かって岩石が風化して出来た粘土を僅か100時間(電気炉は約10時間、ガス炉は約20時間で焼成)で岩石に戻す。人間だけに与えられた脅威の能力である。

75.タジン鍋 ロマン-8 / 命の水

「地球の表面の7割は海に覆われ 人体の7割は水で出来ている。まさに水は命の源である。
水は岩を溶かし土に変え 土に命を与える。活きた土は《やきもの》の細工と形を可能ならしめる。」(文集《どすいか》第三集より)

           信州上高地 大正池
 

 大宇宙にも水は大量に存在している。ビッグバン、新星の誕生成長、超新星爆発の過程で酸素が作られ、水素と反応して水になる。41億年前、ガスの雲の下で水蒸気が凝集し、海ができはじめる。これが万物の始まりであった。今も尚、その水は地球の中で循環して万物の命を支えている。

74.タジン鍋 ロマン-7 / 恵みの土

 山口県青海島


 
「地球が誕生して46億年 
悠久の時の流れが岩石を作り それを風化して土を育んだ 
土は地球上の命の循環を支え、また 文明の盛衰も土と深く関わってきた やきものの発明発展も土の恵みに他ならない」(文集"どすいか"第3号より)

 火成岩、堆積岩、変成岩、火山噴出物が粘土鉱物生成の出発物質である。これらは46億年の宇宙活動、火山活動や地球内部の高温高圧環境の中で生成、更に熱水・風化作用を受けて粘土鉱物へと変身する。
 尾張・西三河・東濃地方は200~500万年の昔「東海湖」と言う琵琶湖の10倍もの湖であった。付近の広大な花崗岩地帯から流入する風化粘土が堆積、これが国内有数の「やきもの」産地へと発展した。



東海湖底に堆積した粘土層と思われる。下から粘土層、亜炭層、シルト層、粘土層(日進市岩崎台地内標高50m)