2009年5月30日土曜日

99.タジン鍋 ロマン再びー4 / 猿投古窯跡群-1

 日本で焼き物の生産は12000年前、世界でも最も古いと言われている。世界的には9000年位前、中国、エジプト、ギリシャなど各地の古代文明の時代からとされる。近世までの日本の焼き物の発展は中国、朝鮮から伝来した技術によるところが大きい。いわゆる縄文式土器、弥生式土器は日本全国で作られていたと言う。1万年も続いた縄文土器の野焼きの時代が終わり、窯で焼成する焼物それが土師器・須恵器です。 焼成温度が飛躍的に伸びた古墳時代の土器には、土師器と須恵器の2種があります。縄文・弥生以来の技術的伝統を受け継いだ赤焼きの土器を土師器といい、青灰色の硬く焼きしまった土器を須恵器と呼びます。・・・

 赤破線は現在の地図上に印した
猿投(さなげ)古窯跡群エリア    クリックで拡大

 


 日本三大古窯(古代の窯跡)の中で最大規模を誇る猿投(さなげ)古窯群、学術的には「猿投山西南麓古窯跡群」と呼ぶ。 猿投山(さなげやま・629m、地図参照)の西南に広がる低丘陵地に5世紀(古墳時代)から14世紀(室町時代初頭)までの約900年間にわたり形成され、須恵器,灰釉陶器などが焼かれ全国に流通した。これらの陶器は日本各地の5世紀以後の遺跡から発掘されている。日本6古窯の常滑焼、瀬戸焼、さらに瀬戸焼の後に栄えた美濃焼の原点になったとも言われている。
 又、猿投古窯は当初は名古屋市東部、現在の千種区東山地区を中心に発展し次第に東部に移動、最後は瀬戸地区で「瀬戸古窯・瀬戸焼」の原点と成ってゆく。

2009年5月26日火曜日

98.タジン鍋 ロマン再びー3 / 東海湖の恩恵


現在の地図の上に印した東海湖(イメージ図) クリックで拡大

 東海湖と古琵琶湖は600万年前からでき始め、東海湖の最大面積期は200万年前と言われている。周辺の山々の花崗岩質が風化した粘土やシルト、砂、礫、及び、メタセコイア等の植物が湖底に層状堆積した。植物の堆積は地層の圧力で半石炭化し、60年位前まで「亜炭燃料」として広い地域で掘削された。現在も亜炭鉱跡の地盤沈下が各地で社会問題となっている。
 粘土の堆積は200万年後の現在も人類の文明の利器としての陶磁器産業が延々と続いている。
東海湖周辺では瀬戸焼、美濃焼(多治見、土岐、瑞浪)、三州瓦(高浜)、常滑焼、万古焼(四日市) 古琵琶湖周辺では信楽焼、伊賀焼など。
 いわゆる「日本6古窯(中世~現代まで続く窯場)」は前記の瀬戸・常滑・信楽の他に備前焼(岡山県)、丹波焼(兵庫)、越前焼(福井)がある。一方、日本3大古窯(古代の窯跡)は後述の「猿投古窯群(愛知県)」、陶邑窯(すえむらかま大阪府)、渥美窯(愛知県)と言われている。このように日本古来の陶器産業は東海湖と古琵琶湖周辺にある事が解かる。これに対し、日本の他の窯場は、主に近世に渡来した朝鮮人や中国人が技術伝承した窯である。例えば、桃山時代に朝鮮出兵した秀吉の亡き後、朝鮮の陶工を連れ帰って起こさせたのが萩焼、薩摩焼、有田焼、・・・等である。

                                                             東海湖の湖底に堆積したと考えられる地層。 下からシルト層・粘土層・赤土層 (断層もみえる) 日進市岩崎台3丁目付近の道路工事現場/ 標高50m(2009.5.10)

 粘土層の上に「亜炭層」が見える

 


亜炭を燃やす 懐かしい石炭の匂い


 東海湖、古琵琶湖は200万年前以降、主として地殻変動などの影響で陸地が盛り上がり次第に消滅又は移動(琵琶湖)してゆく。更に、氷河期の終焉による海面上昇で伊勢湾が誕生した。

2009年5月22日金曜日

97.タジン鍋 ロマン 再びー2 / 地球と日本列島の46億年の軌跡

 

  地球誕生から1万年前までを大雑把に振り返ると
46億年前・地球の誕生・惑星の衝突→火の玉へ 
40億年前→全球海、生物の誕生 
20億年前→大陸の誕生、移動 
 5億年前→大陸の合体、一つの大陸へ 
 2億年前→一つの大陸から分散・移動→再合体の開始 日本列島はこの間、太平                  洋プレート(海底の岩盤)の大陸下への沈み込みにより海中でで                   徐々に形成→浮上、合体、北上
1億3千万年前の日本列島 北側と南側が7千万年前に合体、境界部分が「中央構造線(大きな断層)」といわれ現在の地図上で確認できる。九州、四国、紀伊半島、伊勢湾、三河湾を横断し北上している。
 
7000万年前→日本列島→大陸と結合→恐竜の侵入、過去の海底堆積物がマグマの影響で変成・花崗岩へ 
6500万年前→惑星の大衝突による恐竜の絶滅
2000万年前→日本海の誕生による大陸と日本列島の分離開始、以後、結合、分離を繰り返す
1000万年前→日本列島は現在の姿に近似するも、尚、西日本は大陸と接続
 600万年前→東海湖と古琵琶湖が誕生 最初の人類はこの時期にアフリカで誕生したといわれている。
 200万年前→東海湖は最大に 新しい人類の登場 最大の氷河期 この頃から東海湖の東部が隆起、西部が沈降 湖は次第に縮小化
 170万年前→人類が日本列島へ
  50万年前→大陸と最初の分離    
   2万年前→最後の氷河期により海面が下がり列島は大陸と最後の結合
   1万年前→氷河期が終わり海面が130m上昇、列島は漸く現在の姿に落ち付く 海水が旧東海湖に流入し伊勢湾ができる 初期伊勢湾は岐阜の奥まで到達、名古屋は熱田・御器所台地、東部丘陵以外は未だ海底であった。東部丘陵でも瀬戸市、日進市中央部は入り江であった。

 このように波乱万丈の地球、及び、日本列島の地学的歴史であるが、これらは地球誕生当初の「火の玉」の冷却・対流に起因する地殻の変動、火山活動、宇宙から地球へ到達した物質元素、岩石の変質・風化・堆積、太陽黒点活動に起因する氷河期の繰り返し・・・など悠久にして壮大なドラマの結果であり、又、永遠に続くドラマでもある。1~2億年後には日本列島はハワイやオーストラリアと共にアジア大陸に合体、地球は再び一つの超大陸になると言われている。
 
                

2009年5月20日水曜日

96.タジン鍋 ロマン 再びー1 / 序章

 黒松の芽生え 後方は3年松



 宇宙ができて137億年、太陽系・地球の誕生から46億年に比べれば、現代に至る最後の1千万年は、ほんの一瞬に過ぎない。しかし、此処には手の届く様な現実的なロマンがある。以下、最後の1千万年を中心に地球の歴史とタジン鍋とのかかわりを見る。

2009年5月3日日曜日

95.タジン鍋 食べ比べ / K型は安定した美味しさ

 左:K型(かぶと型・従来品) 右:C型(コーン型・市場一般品並)いずれも当工房製作品  花は はごろもジャスミン

 各5回調理比較結果:C型は食材量や水分量のバラツキが調理後の柔らかさや風味、焦げ付きに比較的敏感に影響する感じ。従って使いこなしにある程度の慣れが必要。一方、K型は少々のバラツキは関係なく安定しているし、たっぷり量をこなせる感じである。風味・柔らかさもやや上。
 理論的には、蓋の内面積・重さが大きいほど「水分の循環・風味や栄養の封じ込め・遠赤外線効果・保温」が長時間続くためと考えられる。